[相談]
当社は貿易業を営んでいます。
このたび、A国で購入した貨物について、いったん国内の保税地域を経由した後にB国に所在する企業に譲渡したのですが、この貨物の譲渡は、消費税法上の輸出免税の対象になるのでしょうか。上記の貨物については、我が国での輸入手続は経ていません。
なお、保税地域とは、税関によれば、「輸出入貨物を法の規制下に置くことにより、秩序ある貿易を維持し、関税などの徴収の確保を図るとともに、貿易の振興及び文化の交流などに役立てることを目的」とし、「外国貨物の積卸し、運搬、蔵置、加工・製造、展示等を行うことができる特定の場所や施設」とされています。
[回答]
ご相談の貨物の譲渡は、消費税法上の輸出免税の対象になるものと考えられます。詳細は下記解説をご参照ください。
[解説]
消費税法では、事業者(消費税免税事業者を除きます)が国内において行う課税資産の譲渡等(※1)のうち、次に掲げるものに該当するものについては、消費税を免除すると定められています(輸出免税)。
なお、上記の規定は、その課税資産の譲渡等が上記①から⑤に掲げる資産の譲渡等に該当するものであることにつき、一定の方法により証明がされたものでない場合には、適用しないと定められています。
※1 課税資産の譲渡等とは、事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供(代物弁済による資産の譲渡その他対価を得て行われる資産の譲渡もしくは貸付け又は役務の提供に類する行為として一定のものを含みます)のうち、消費税が非課税とされるもの以外のものをいいます。
※2 消費税法上の外国貨物とは、関税法に規定する外国貨物(輸出を許可された貨物とみなされるものを含みます)をいい、関税法に規定する外国貨物とは、輸出の許可を受けた貨物及び外国から本邦に到着した貨物(外国の船舶により公海で採捕された水産物を含みます)で輸入が許可される前のものをいいます。
消費税法上、国外で購入した貨物を国内の保税地域(※3)に陸揚げし、輸入手続を経ないで再び国外へ譲渡する場合には、関税法の内国貨物を輸出する場合の手続規定が準用されることから、その貨物の譲渡は、消費税法上の輸出免税の対象となることとされています。
したがって、ご相談の貨物の譲渡は、消費税法上の輸出免税の対象になるものと考えられます。
※3 消費税法上の保税地域とは、関税法に規定する保税地域(指定保税地域、保税蔵置場、保税工場、保税展示場及び総合保税地域の五種)をいいます。
[参考]
消法2、7、関税法2、29、75、消基通7-2-3、税関ホームページなど